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競馬とギャンブルの話③ 平均回帰の法則とよくある分析手法

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平均回帰の法則という法則がある。
ある試行で極端に良い、あるいは極端に悪い結果が出た時、その次の試行は、前の結果よりも平均に近い結果が出る確率が高い。
それだけの話だ。それ自体はなんら難しいものではない。

いくつか簡単な例を挙げよう。
・テストの期待点数が50点の時、ひょんなことから95点取った次のテストでは、95点より少ない確率の方が高い。
・サイコロを3回振った時に出た目の総和(最小3、最大18)が17だった時、その次の3回では17よりも小さい確率の方が高い。
・身長2mの父と、身長2mの母から生まれた子供は、身長2mより低い確率の方が高い。
・ディープインパクトの仔は、ディープインパクトよりも強くない確率の方が高い。
・三冠馬の父と三冠馬の母から生まれた仔は、三冠を取れない確率の方が高い。

どれも当たり前の話に聞こえると思う。これが平均回帰の法則だ。

しかし、人はその間違った確率的直感から、また満天の星空からたくさんの図形を見出すほど優れたパターン認識能力から、しばしばこの法則に則った事象を観察し、過った判断をする。

米兵の飛行部隊の教官が何故怖いのか、その理由を説明した話がある。

訓練生の飛行の成績はある種の確率変数だ。
もちろん訓練生の能力にはそれぞれ差があるが、その”能力”よりも良い成績を残す場合もあるし、悪い成績を残す場合もあるだろう。
わざとヘマをしようとせず、毎回最高の結果を出そうと集中しているのに、ランダムネスのプロセスにより結果のバラつきが発生する。
人間の作業は往々にしてそういうものだ。

訓練生がとびきり良い飛行をした時、教官は褒める。次の飛行は平均に回帰する。
訓練生がとびきり悪い飛行をした時、教官は叱る。次の飛行は平均に回帰する。

これを繰り返していると、教官はやがてある一定のパターンを発見する。
つまり、とびきり良い飛行をした後、褒めたら悪くなった。
とびきり悪い飛行をした後、叱りつけたら良くなった。

こうして、教官に間違った動機付けがされてしまうことになる。
すなわち、「褒めたら付け上がる。飛行を上達させるためには、叱りつけるに限る」ということだ。



たとえば、「馬券を大勝負すると当たらない、馬券を買わないと当たる」とマーフィーの法則のような主張する人は競馬界に多いけれど、多くの場合これは平均回帰の法則に翻弄されているだけだと思う。
大勝負をする時って、だいたい外れ値的に成績のいい瞬間なんだよな。
これまでの数レースの結果の回収率が飛び切りよい。今日はツイている、あるいは読めていると錯覚する。当然その瞬間は財布も分厚い。
しかし残念なことに、回収率が500%の次の数レースはより平均に近い回収率が出る確率の方が高い。
逆に、これまでの数レースで全然当たっていない、お金も尽きたし今日は馬券を買うのはもうやめることにした。
しかしその次の数レースはより平均に近い、もっと良い回収率が出る確率の方が高い。

よくある競馬データの分析手法、たとえば各レース条件における各産駒の的中率や回収率を調べ、高いものを買う、という方法もかなりこの種の間違いが起こりやすい構造になっていると思う。
これはクソほど研究した上で、かなり自信を持って言うけど、特に血統の「この産駒はこの距離この競馬場」みたいな主張は、血液型占い程度の信憑性しかないと思う。つまり皆無だ。

私の今年の西田雄一郎と森祐太郎の回収率は22325%だから、私は今年この二人の馬券を買い続けます、みたいな手法と本質的に大差ない。

あの手の手法は、勝利から全力で遠ざかることになると思う。

まとめ
・流れとか調子とかない
・あるのは平均回帰の法則だけなので、冷静になれ
・血統予想は、日本人の大好きな血液型占いと同じレベルの疑似科学

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